Q&A | 土留部材引抜同時充填工法【首都圏上下水道協議会】

よくあるご質問

計画時・設計時

これまでの方法は鋼矢板(シートパイル)を引抜き抜いた後の空隙を、引抜施工の邪魔にならないように(上下作業にならないように)、後ろから追いかけてCB(セメントベントナイト)注入を行います。しかし、引き抜き直後に地盤の変位が生じるような地盤条件下においては、引抜た空隙を充填できず、地盤変位によってできた別の空隙に注入されます。また、薬剤の特性から硬化時間もかかるため、引き抜き直後の地盤変位を抑制できません。初期の変位を起こさないことが引き抜き時の沈下抑制の大原則です。本工法は、引抜き時に発生する空隙を即座に充填して固化することで、初期の地盤変位を抑え、結果的に周辺地盤への影響を防止できることを大きな強みとしています。さらに、これまでいろんな条件下で施工実績を積んできたことが安心できる要素の一つと考えています。

現時点においては、充填管の取り付け頻度は鋼矢板3~6枚に対して1本です。軽量鋼矢板の場合など、1枚当たりの回収量が少ないため、安くならない場合もあります。しかし通常のⅡ型~ⅤL型鋼矢板ではほとんどの場合は安くなります。BOX-Cの工事などで鋼矢板を転用する場合は、残置に比べてコスト削減効果はさらに大きくなります。鋼矢板の種類、1本当たりの長さ、引き抜き枚数、土質条件等、鋼矢板の設置期間などに拠ります。 ※お問い合わせいただければ2~3日で積算してメール致します。

鋼矢板が引抜けるという条件であれば、引抜同時充填が可能と判断でき、それ以外の制約は特にはありません。

薬液注入は土粒子と土粒子の小さな隙間(間隙)に薬液を圧力をかけて注入します。一方、同時充填工法は、鋼矢板を抜いてできる空隙にこの工法専用の充填材を充填します。プラントから空隙まで充填材料を圧送しますが、土粒子間に圧力をかけることはしません。よって薬液注入と同時充填は異なります。

近接施工の指針などで影響範囲(L)=鋼矢板長さ(h)×tan(45°+φ/2) φ:土の内部摩擦角 という式が用いられます。しかし、最近の研究事例(論文)などによると、粘性地盤や緩い砂質土層などの、所謂軟弱地盤においては、鋼矢板の2倍以上の範囲に引き抜きの影響が及ぶこともあることが判っています。地盤条件、施工条件ごとに慎重に影響範囲を判断する必要があります。 ※資料請求いただければ、参考論文などをメール致します。

鋼矢板の引き抜き箇所の近くに民家や埋設物が存在する場合の他、直接基礎のBox-Cや橋脚の沈下防止などにも使われます。また、最近は河川堤防における鋼矢板引き抜き箇所が将来の水ミチになることを防止するためにも使われます。 ※施工実績を参照してください。

これまでに実績もあり可能です。充填材が高アルカリですが、ゲル化するので流出はしません。また、アルカリ分の溶出はありますが、その量は水の量に鍬べてきわめて少なく、これまでの事例で河川水のPHが上昇するようなことはありませんでした。

施工時

協同組合Masters(国土交通省認可の団体)の組合員が全国に存在します。よって、全国で施工可能です。ただし、特許権の仕様の問題がありますので、この組合(研究会の事務局)、予めご相談下さい。

これまで200件以上の実績があり、その中で計測結果が我々の研究会の手元にある案件もあります。海岸堤防の近傍において、充填剤が流出して中断した1件を除いて、同時充填効果が確認できています。しかし、地盤条件や打ち込み、引き抜き機械、掘削方法などで沈下に影響を与える要素は様々です。沈下抑制の対象物を特定して、供用範囲を事前に協議して決めておくことが必要です。 ※資料請求いただければ、計測データの提供も可能です。(公表の承諾を得ている範囲で提供可能です。)

全く充填をせずに鋼矢板を引き抜いた場合、3ヶ月間以上沈下が収束しなかった事例もあります。これまでのところ、同時充填を行った場合、多少の沈下は鋼矢板の引き抜き箇所のすぐ際では起きますが、1~2週間程度で沈下が収束しています。

充填材料

同時充填工法に使う充填材は非水ガラス系セメントミルクグラウト材に分類され、恒久的強度が期待できます。さらに、従来の恒久グラウト材に比べて、収縮率を低くしていますので、空隙が将来的に発生しにくい性状としています。 ※資料請求いただければ充填材料のカタログをメール致します。

恒久グラウト材として、20年の耐久性を確認できています。

溶出試験検査結果により有害物質は検出されていません。 ※資料請求いただければ充填材料の安全データー証明をメール致します。

N値で例えるならN値20~30程度の硬さになります。充填材の厚みも鋼矢板の厚さの2~3倍程度ですし、強度も硬い土程度ですので、地中障害物にはなりません。

当研究会としては、平成15年6月30日に報告された「セメント系固化処理土に関する検討最終報告書(案)セメント系固化処理土検討委員会」を根拠として「必要なし」と判断しています。 ※詳細につきましてはお気軽にお問い合わせください。

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